鯨尺と曲尺

『くじらじゃく』と『かねじゃく』

日本でものを測る単位としてあった『尺貫法』で使う

物差しのこと

この単位が戦後のGHQの占領政策の一環として

使用を禁止されたのが昭和34年のこと

公には使えない事となって

違反した時は処罰が課されることになった

そうは言っても大工さんや着物の仕立てなどで

この物差しを使っている人はとても困ったそうだ

永六輔さんの名前を知っているだろうか

咳声のどに龍〇散と言ったらこの人のコマーシャル

年配の方なら永六輔さんの事を良く知っていると思う

職人さんから鯨尺や曲尺を使えなくなって困ったと

相談されたのが永六輔さん

職人さんの為にこの物差しを使う訳にはいかないかと

政治家に相談したけど誰もが不可能との返事

その後は自ら尺貫法を使っては警察に自首したり

色々な手を使って尺貫法の復権に尽力した

その結果は尺貫法の復権にはいたらなかったけど

それを使っても処罰は行われなくなった

我が家にも鯨尺がおいてあった

竹製で普通に目盛りがついていたけど

その目盛りは一尺とか一寸で

メートル法を使っていたわたしにはわからなかった

「一尺は○○cmで一寸は〇cm」こう教えられた

けれど着物を作る事のない私には必要のないもの

母は着物を作ってくれる時に使っていた

使っている事が知られると捕まるから内緒だよと

使った後にタンスの上に隠していた

そう言われたのは覚えているけど

物差しを使っただけでなんで捕まるのかが

さっぱりわからなかった

それにcmに換算できるならそっちを使うと良いのに

なんて思ったりしていた

けれど職人さんにとっては尺貫法は必要な物で

これがあるためものづくりの微妙なところが守られていた

国を弱体化するためには言葉を取り上げるほかに

計量法を取り上げて混乱させるのが有効だと言われている

戦争で敗戦国となった所で言葉の使用を禁止されて

戦勝国の言葉の使用を強要されているのは周知の事実だ

日本でも尺貫法の禁止の他にローマ字を使うように

指示されたけど現在を見て分かるように

日本語のローマ字化は失敗した

『日』と言う一字だけでもたくさんの読みがある漢字を

全てなくしてローマ字にしたら文章の意味をなくしてしまうし

古からの美しい文章も消えてしまう

お正月に遊ぶ百人一首も

もしローマ字になっていたらと考えるとどうだろう

尺貫法で建てた神社仏閣に詣で

尺貫法で仕立てた着物を着てお正月を迎える

周りは墨痕鮮やかな漢字が躍っている

敗戦になった時にこの伝統がすべてなくなるところだった

漢字のままで良かったと胸をなでおろすべきだろう

世界的にみてメートル法は大事かもしれないけれど

飛鳥時代くらいから使われている尺貫が

日本の伝統を守ってきたと考えると

それを元に戻すことも大切だと思う

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました