還付金詐欺

♪ピチピチピチ　チッチチチ　ピ～♪

ケータイの着信音が鳴った。

電話はほとんどかかってこないし、かける事もほとんどない。

だからかかって来た時は大事な用事と思って出る事にしている。

　　　「はい」わたし

「〇〇さんの電話でよろしかったですか」

　　　「はい」

基本、聞いた事のない声には冷たく低い声で、

はいとしか返事はしない。

「税金の還付金の事でお電話しました」

　　　「はい」（還付金詐欺ってやつかな）

ここまでそっけない返事だと、相手はかなり戸惑っている

のが感じられる。

「還付金が出たのでお返ししたいと思うんですが」

　　　「はい」（本当なの？）

「それでですね、口座の番号を教えていただきたいんですが」

　　　「はい」（ほら来た、コンビニに行かされるのかな）

「そちらから伺っている番号は〇〇〇〇なんですが」

最後の数字が違っている。

その事は無視して

　　　「なんで還付金があるんですか」

先方が言うには、確定申告に従って計算したけど、住民税が

確定するのは６月なので先に収めた分が…ってことらしい。

こっちの冷たい応答に、先方は少しおどおどした感じで

説明してくれている。

（なんか少し可哀そうに思ってしまった）

それは知っているけど、年金から天引きと別に

住民税の納付書が来ていたんで

説明を聞くために電話をした事を伝えた。

なにせ少ない年金から介護保険料と住民税を天引きされて

そのほかに住民税の納付書も来ていたから

何のために頑張って働いてきたのかって思っていた所だ。

その時の電話対応はそっけないもので

決まっているとしか答えてくれなかったし、説明してもらっても

よくわからなかった。

これなら、適当に働いてナマホを貰った方が良かったかも。

住民税も健康保険料も払わなくて良いし、病院代も無料だもの。

（ねっ？）

年金を貰っている人の中には、ナマホの受給より少ない人が

たくさんいるようだ。

困っている所に支援するのは納得できるけど、日本の悪口を

言っている所への支援が割合的に多いって、なんかおかしい。

還付金について一生懸命に説明してくれる男性、

そこで思いだした。

電話の着信番号が市役所の番号だったことに。

少なくとも詐欺ではなかったという事だ。

正確な口座番号を伝えて、先方をねぎらう言葉をかけた。

その還付金は９月７日に入るので、銀行で確認してください

との事だった。

いま、還付金詐欺の件がけっこうあるようだから

こういう電話をかけて説明する人も大変だ。