タコのお母さん

春になって海岸近くが『群来』で真っ白になっている

ニシンが産卵の為に岸近くに来ている証拠

群来って言わばニシンの集団結婚式みたいなもの

鮭は川をさか登って上流の川底に穴を掘って

次世代に向けて卵を産む

カメは海から岸に上がって

長い時間をかけて穴を掘り卵を産む

ニシンも鮭もカメも

卵を産んだ後は孵った子供たちには会えない

その分一番安全なところに卵を産んでいる

そんな中でタツノオトシゴはオスのおなかのポケットで

卵を孵してベビーちゃんを産み育てる

口の中でタマゴを孵してそのまま育てる魚もいる

孵った小魚はたまに口から外に出るけど

敵が来るとみんな一斉に親の口の中に逃げる

親の口の中ならどこよりも安全だもの

こんな魚を見ては微笑ましく思っていた

タコの産卵からタマゴが孵るまでの事は

見ているうちにあまりの尊さに

胸がジーンとなってしまった

北極でペンギンがコロンーを作って

真ん中に子供たちを入れ周りを親鳥が囲んで

ブリザードの中をみんなでジッと立って守っている

それを見た時も鼻の奥がジーンとしたけれど

タコのお母さんはもう尊いとしか言いようがない

岩の間に10~20万個ほどの卵を産みつける

そうしてタマゴが孵るまで6~10か月の間

飲まず食わずでお世話をする

この間は卵を狙ってくる他の魚を追い払ったり

お掃除をしておうちをきれいにしたり

岩の間で水がよどまないように

新鮮な水に入れ替えたりと

ずっと頑張っている

そうしてタマゴが孵る時にはそれを手伝って

ふ化を見届けると力尽きる

『悪魔の魚』なんて呼ばれることがあるタコだけど

こんな話を聞いたらもうそんな事は言えない

それに迷路の実験をしたら

タコはちゃんと出口に向かうことが出来る

そんな頭のいい生き物なんだ

こんなタコたちを見習ってほしいと思う

そんな人間がなんと多い事か

何とも情けなくなってしまう

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