水中観覧船に乗った

積丹ブルーって知ってるだろうか

国定公園になっている積丹町の海の色を

『積丹ブルー』って呼ぶんだ

そこに遊覧船が航行していて

船底から海の中が見えるんだよ

いつものように母が突然

「船に乗りに行こう」

え~?今からか?

さっき夜勤から帰ってきた所なのに

と言ってももう行く気持ちが満々な様子に

諦めて行く事にした

すぐ近くだからどんなにゆっくり行っても

車で一時間だろう

出かける時はトイレの場所が重要だ

母は胃癌に大腸がんの二つを患って手術をしている

飲んでいる薬の関係かトイレが近い

なので子供連れと同じにトイレのある場所を

調べてから出かけるのが大事

船だから就航していない事もあると話してから出発

到着して乗船券を買ったところで

「トイレに行きたい」

近くにあったトイレを見たら長い長い列

もうすでに10人くらいも並んでいた

出航には間に合うだろうけど

トイレの方が間に合うだろうか

母の前に並んでいた人達が小声で何か言っている

徐々に前へ前へと連想ゲームのように耳打ちをして

今度は前の方から同じように…

前にいた女性…というかまだ女の子と呼んでも

良いくらいの年齢だろうか

母の手を引いて一番前まで連れて行ってくれた

言葉は日本語ではない

多分大陸の方の言葉だろう

この地域には漁業や農業の実習生が来ていた

その後は船に乗ってからも母の事を気にしてくれた

まだ若い女の子たち

親から離れて知らない国でもちろん言葉は通じない

さぞかし家が恋しくていた事だろう

船に乗ってからは襲われていると思うほどに

カモメがやって来る

早々に船の中に入って透明な窓から外に目を凝らした

船の音に驚いているのか時期的な物なのか

見えるのは砂と小石の海底だけ

小魚一匹も見えなかったけど

水に顔を浸けずに海の中が見えるって楽しい

波が穏やかだったのも良かった

周りは外国語だけ

案内をしてくれていたけどそれも全部が外国語

母と外国旅行しているみたいだねって話した

行く距離に関係なく

母との凸凹旅行はいつでも楽しかった

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