ヨーロッパのパン籠

窓の外で友人の声が聞こえた。

何か、元気に挨拶をしているような声。

玄関に出たら、やっぱり。

2人の友人が立っていた。

多分、右と左からウチに来て、玄関前で鉢合わせだろうか。

一人はサーティーワンのカップアイスを4個も届けてくれた。

一人は、頼んでいた和服の仕立て直しを届けてくれた。

普段着に仕立て直してもらっていたのだ。

アイスに入っていたドライアイスを水に入れて

立ち上る煙を楽しみながらアイスを食べた。

家の菜園の大葉に、それは小さな可愛い双葉が出てきた。

ヒマワリも大きくなってきた。

あの侵攻がなければ、ウクライナでも種まきをしていただろう。

どこまでも青々と茂っていた畑は、無残に荒らされ

茶色の荒れ野になっていた。

所々には不発弾が残っていて、そこかしこが黒っぽくなっている。

こんな状態で種まきは出来ないだろう。

種まきどころか、収穫した麦が倉庫に山積みになっていた。

「世界には飢饉になっている所があるって聞いた」

「ただ同然で良いから、この小麦を届けて欲しい」

せっかく収穫した麦なのに、輸出どころか運び出す事も出来ない。

農家の方が涙を流しながら、こう話していた。

日本でも以前に、牛乳をすべて排水に流した映像があった。

収穫したものをどうにもできないって、どんなに悲しい事だろう。

麦も置いたままだとどんどん傷んでくるだろう。

破産する農家もかなりになるだろうとの事だ。

種麦や肥料、農機具の燃料を買う事も出来ないという。

友人のイチゴ農家のご主人は、イチゴが可愛いって言っていた。

自分の作った物だもの、誰かに食べて欲しい。

我が家の少しの物でも捨てないとならないとしたら

凄く悲しく思う。

黒海にはロシア海軍がいるし、海側のオデーサも攻撃されている。

海からの輸出は無理だろう。

ウクライナでは列車を使って作物を運ぶ試みをしている。

ポーランドから諸外国に運ぼうという事だ。

ただ、ウクライナとポーランドの線路は幅が違うので

それをどうするかが考え中だという。

ロシアが撤退して、復興に向かって行けたらどんなに良いだろう。

一朝一夕では復興は難しいと思うけど、日本なら手伝えると思う。

もちろん他の国も支援してくれるだろう。

『ヨーロッパのパン籠』と言われた、緑豊かなウクライナに

戻った姿を早く見たい。

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