ユダヤ人に救われた樋口希一郎

札幌から車で約30キロの所にある石狩市。

2020年9月、その地に旧陸軍中将をたたえる記念館が開館した。

その中将の名前は樋口希一郎氏。

終戦後に千島列島の占守島に侵攻してきたソ連軍から

日本を守ってくれたのが樋口氏だ。

占守島の戦いでもう一人、忘れてはならない人物が池田末男大佐

で、この方は最前線に赴き隊長車に乗って先陣を切ってソ連軍と

戦って、文字通り命をかけて戦ってくれた。

この二人と戦車第11連隊の方たちがいなかったら、今頃は

日本は南北に分断されていたかもしれない。

樋口中将の話しに戻るけど、東洋のシンドラーと言われた

日本の外交官杉原千畝氏が、ユダヤ人に2139枚の

ビザを書いて、6000人を救った事からさかのぼる、

2年前の1938年3月に

ドイツからの迫害で逃げてきたユダヤ人を2万人救った。

凍てつく満州の3月、ソ連と満州の国境沿いにある

オトポール駅で満州を通ることが出来ずに

立ち往生していたユダヤ人に手を差し伸べた。

満州国外交部がドイツと日本に忖度して通過させなかった

けど、樋口氏は「日本はドイツの属国ではなく、満州国も又

日本の属国ではない」と日本政府を説き伏せた。

そうして満州から上海までの脱出ルートを手配し、

ドイツとの関係から、書類を処分したりした。

その後は、先に言ったように、占守島のある北の守りをして

ソ連の侵攻を食い止め、日本を守った訳だけど

その事から、ソ連のスターリンに戦犯として指名された。

その時に強硬に反対したのがユダヤ人協会で、

マッカッサー元帥にも訴えてかけて、樋口の戦犯は免れた。

こうして多くのユダヤ人を救った樋口氏だけど

杉原千畝氏のように有名ではない。

それは、彼が軍人であり、敗戦国の日本軍人をマスコミは

公にしたくなかったからと思う。

最近になって樋口氏の名前がささやかれ、ゆかりの地北海道に

記念館が開館した。

樋口氏がユダヤ人を救うに至った経緯はさらにさかのぼる。

ちなみに、杉原氏が『命のビザ』で救った6000人余りの

ユダヤ人の子孫は、いま世界中にいて約25万人になると

いう。

樋口ルートでにげる事が出来たユダヤ人の子孫は

どれくらいになるのだろう。

なんで、ユダヤ難民を救ったのだろうか。

オトポールでの直前1937年12月に、ハルピンで開かれた

『第一回極東ユダヤ人大会』で、樋口は、ユダヤ人国家建設に

賛成しユダヤ人の境遇に深い理解を示していたのが大きい。

樋口氏は1919年に赴任したウラジオストクでロシア系

ユダヤ人の家に下宿していた。

その時にユダヤ人の若者と毎晩のように語りあかしたという。

有色人種への差別が強かった中で、ユダヤ人だけが助けてくれ

他の日本人も樋口と同様に下宿させてもらっている。

樋口氏の回想録によると、

1928年にジョージア(旧グルジア)で、ユダヤ人の老人から

ユダヤ人が世界中で迫害されている事を教えられた。

そういう事がユダヤ人救出に繋がったのだろう。

杉原氏はホロコースト記念館に『諸国民の中の正義の人』

として記述されているけど、樋口の名前はない。

樋口氏はユダヤ民族に貢献した人を記す『ゴールデンブック』に

名前が載っている。

樋口氏は、「当たり前の事をしただけ」と

気にしていないだろう。

   かなり長くなるけど、樋口氏が第一回極東ユダヤ人大会

   で話したことを書いてみる。

      ユダヤ人諸君は

      お気の毒にも世界いずれの

      場所においても

      『祖国なる土』を持たぬ

      ユダヤ人はその科学

      芸術・産業の分野において

      他のいかなる民族と比べても

      劣る事なき才能と

      天分を持っている事は

      歴史がそれを立証している

      20世紀の今日

      世界のどこかで

      ユダヤ人を追放するさまを

      見ることは

      人道主義の名において

      また、人類の1人として

      私は心から悲しむものである

      ある一国は

      好ましからざる分子として

      同胞であるべき人々を

      追放するという

      追放せんとするならば

      その行く先を明示し

      あらかじめそれを

      準備すべきである

      当然の処置を

      講ぜずしての追放は

      刃を加えざる虐殺に等しい

      私は個人として

      心からかかる行為を憎む

      ユダヤ人追放の前に

      彼らに土地すなわち祖国を与えよ

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