ホタル 子供の頃の思い出

「〇〇ちゃん、ブタが子供を産んだから見にいこう」

そうやって従兄弟に誘われて小屋に行ったっけ

横になっている親豚のおなかには

小さな子ブタが群がってお乳を飲んでいた

生まれた子ブタは一度自分のお乳と決めたところからは

場所を移さないらしい

「牛乳を搾りに行くけど(一緒に)行くか?」

じいちゃんに誘われて見に行った

そうしたら牛に蹴られた

牛にしてみたらハエか何かくらいにしか

思っていなかったんだと思う

どういう経緯かは忘れたけど

仔牛に追いかけられて泣きながら逃げた

遊んでいると思われたのか仔牛は土間の中まで

入って来た

母牛のミルクをとられると思われたのかは分からない

ばあちゃんが『洗い張り』という事をしていた

着物の糸を全部抜いて元の布にしたものを

洗って糊をつけて長い板に張り付けて乾かしていた

ばあちゃんが『ところてん』を作ってくれた

最近になって調べてみたらすごく手間のかかる事だった

天草を採ってきて乾燥させてから

何度も水にさらしてを繰り返しての作業

ばあちゃんって言っても

本当はひいばあちゃんだった

かなりの年齢だったから大変だったろう

年末にはしかになった時には

もち米ははしかの痕が残るって言って

黄色い粟餅を作って送ってくれたっけ

夜になると大きな部屋の中に蚊帳をつってくれた

その中にホタルを放して眠るまで光を見ていた

いつだったか田んぼに入ってみた

足が重しをつけられたみたいに動けなくなって

そのまま尻もちをついてしまった

そうして笑われた

2度と田んぼには入らないと決めた

そうやって親たちが田んぼで働いている間は

子供たちだけで海に行った

中学生が小学生を見て小学生がその下の子供たちを

子守して

中学生が海から採って来たものを浜辺で食べた

誰も事故には遭わなかった

海で遊んだ後はそのまま川に入って身体を

洗ってもらい家に帰った

「誰だ!?コメ流したの?!」

川でコメを流したのはわたし

水の勢いで釜の中の米が流れてしまった

ほとんど怒られることなんかなかったのに

この時は叱られたな~

上流でコメを研ぎ野菜を洗って

下流で洗い物をして

もっと下では洗濯

共同の水道が出来るまでは川の水が生活の基盤だった

どうしてそんな綺麗な川をコンクリートで固めて

しまってんだろう

土や草がなくなると川は〇んでしまって

魚もいなくなってしまう

川は川として残して欲しかった

そうやって自然がひとつづつなくなっていくんだな

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