人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られて〇んじまえ
とは昔の人が言った事だけど
私はホタルの恋路を邪魔した事がある
たった2週間しかない求愛の時期を邪魔したのだから
可哀そうな事をしたと思う
けどその報いはしっかりと受けた
仔牛に追いかけられて泣きながら逃げまわり
親牛に蹴られたからさ
子供の頃は夏になると母の実家で過ごしていた
今考えると多分田んぼの手伝いに行ったのだと思う
その家は汽車で7~8時間行って
一度汽車を乗り換えてから
次はバスで行ったところにあった
乗り換えの待ち時間が何時間もあったから
朝に出かけて着く時には真っ暗になっていた
真っ暗な中で戸を叩いて起きて貰ったら隣の家だった
これは母の黒歴史かな
今は車で4時間もあると行かれる場所だから
便利になったものだと思う
山に川に海と揃ったその場所は
夏を過ごすには最適の場所で家の手伝いを少しだけして
(邪魔をして)あとは遊んでいた
暗くなると家の裏にはホタルがたくさん飛び交っていた
そのホタルを捕ってはつるした蚊帳の中に
はなして眺めていた
その時はホタルの寿命がわずか2週間だけなんて
思いもしなかった
可哀そうだから放してあげなさいって
言われたような…
明かりの少ない田舎の家の中で
ホタルの光は妖しくふわふわと流れていた
魚の住む綺麗な川と草原はホタルが住むには
とてもいい環境だっただろう
いつの間にか川はコンクリートで護岸工事がなされ
蛍はおろか魚もいなくなってしまい
どこからかゴミが流れ着くようになっていた
川幅は数メートルしかなかったけど
いつもきれいな水が流れていたのに
川の中には低温殺菌の為の牛乳の缶があったし
洗い物をしたり米を研いだりできたのにね
なんで何でも護岸工事とかってものをするのかな
川が氾濫したなんて聞いて事がなかったのに
そうやってあちこちの川がコンクリートで固められて
水辺の生き物が住めなくなってしまった
映像でホタルを見ることは出来るけど
実際に見るとは大違い
子供たちにホタルを眺める場所が残してあげたいな
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