カスべ

今日はカスべを解凍して煮つけにした

宅配用のカタログでこれを見つけた時

迷いなく注文用紙に記入した

この魚は子供のころから好きだった

好き嫌いの激しかった私としては

食べられるものの中の数少ないひとつだった

けどこのカスべ

水カスべと真カスべの2種類があって

この二つは食感が全然ちがう

切り身で売っているとさっぱりわからない

一度ワクワクして買ってきたは良いけど

美味しくなくてガッカリした

カスべと言ったけどこれは北海道の方言

北海道人のわたしにとって

これは『エイ』じゃなくてカスべ

この魚は砂に潜って獲物を待ち構えている

尾に毒があるので踏んだらたいへんな事になる

この尾以外は全部食べることができるらしい

アンモニア臭があると聞くけど気にした事はないし

そんな匂いはしない

骨もあるけど刺さるような骨じゃないから

子供にも良いだろう

それに何と言っても良いのは

コラーゲンが豊富だってこと

煮つけにした後は身をほぐして煮凝りにする

この冷えた煮凝りを暖かいご飯と一緒に食べると

すごく美味しい

もちろんお酒のつまみにも最適

子供の頃に母が言っていた

「田舎でね~カスべは神様の使いなんだ」

カスベが神様の使い?

形は北海道に似ているけどどういう事?

その集落であったこと

浜辺で遊んでいた子供がいなくなってしまった

探したけど見つからなかった

諦めた頃

こどもを背中に乗せたカスべが浜に現れたそうだ

もちろん子供は元気

それからカスベは神様の使いって言われたんだって

良いお話だけどどう頑張っても子供を乗せられる

そんなカスべがいたんだろうか

マンタなら子供の1人や5人位乗せられただろうけど

マンタって暖かい海にしかいないはず

それとも昔はいたんだろうか

郷土資料館で小さな小舟に乗った人たちが

シャチを捕まえようとしているジオラマを見た

シャチは海岸線近くに来ていたみたい

ならマンタも北方の海にいたのかもしれない

時々思い出したようにその話をしてくれた母

そうかカスべは神様のお使いなのか

そんなカスべが好きだった母

よく食べていたのはなんでかな

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