保護犬ちゃーとの出会い…そして別れ

保護犬チャーと出会ったのは、ちゃーがもうすぐ3歳になろうとした頃。

誰にも心を開かないのではと、あきらめかけた時期もあったけど、

仲良くなれたのは本当に良かった。

「あれ?ちゃー、なんか臭くないか?」

体臭の強い犬だったから、顔を拭いたりお風呂にも入れていたけど、何か

匂いがきつくなってきた。

お風呂が大好きだったのは良かったけど。

気づくと、壁や床に黒い物が飛び散っていたのを見つけた。

耳の中が黒いもので覆われていた。

病院に連れて行ったところ、マラセチア菌に感染していた。

この時から、病院通いが始まった。

抗菌剤の服用を始めて、耳に入れる外用薬を貰ったけど、病状は良く

なったり悪くなったり。

梅雨の時期は湿度が高くなるので、悪くならないように除湿や冷房を入れた。

耳の薬は何回変わっただろうか。

良いシャンプーがあると言われたらそれに替えたりして、落ち着くまで

何年もかかったけど、気を許すと悪化する、これを繰り返した。

抗菌のアロマがあると聞き、入浴の時に使ってみたりした。

口の中に腫瘍が出来て手術をしたが、術後に呼吸困難に陥った。

鼻が短い犬種は、もともと気道が狭くなる傾向にあるんだって。

Drが夜中までかかって治療をしてくれて、家に帰ってくることが出来た。

退院の時は、声をかけても知らんぷり。

また捨てられたと思ったのかな、ひどいよちゃーちゃん。

花粉症にでもなったかと思うほどにくしゃみが出て、床に鼻汁を

飛び散らかす事も毎年のようにあった。

内服薬を飲むと、下痢や嘔吐があるので、注射をして貰った。

甲状腺機能が異常になって内服を始めたけれど、吐き始めて治療中断。

くしゃみや鼻汁には、毎月病院に行っていたので、その都度、

内服や注射で治療した。

「ちゃーちゃん、痛いけど我慢してね」とDrが言うとキャン!って鳴く。

少しして分かった事だけど、何も言わずに注射すると全然鳴かない。

それからは、「ちゃーちゃんは可愛いね」「ちゃーちゃんって凄いね」

とかって気を紛らわせては治療をして貰った。

犬に吠えられても動じないと思っていたけど、ちゃーは鈍いと言う事に

行きついた。

本当におバカなちゃーちゃんと思っていたけれど、すごく偉いところも

あった。

始めての散歩では、家をすぐに覚えて走って玄関前まで行ったし、

足を拭くまでは絶対に家に上がらなかった。

トイレだけはどうしようもなかったけれどね。

けど、トイレの事だって、何かの抗議だったんでしょ。

フレブルは10歳を過ぎたらフェアリー期と呼ぶと聞いた。

10歳を過ぎた頃に「ブヒブヒ言うフェアリーちゃん」

と呼び始めた。

その頃からは、毎年、夏を越せるだろうかと心配が始まった。

食事にもずいぶん気を付けた。

食欲が落ちたら、犬用ミルクに軟らかいフードを混ぜて食べてもらった。

今年のGWに過ぎた頃から、何をあげてもあまり食べなくなった。

あんなに食いしん坊のちゃーちゃんだったのに、何か気に入らない事が

あって、ハンガーストライクをしているのかな?

けど、体重は落ちないし、コロコロとしているのは同じだから、

そのうちに食べるだろうと思って色々と試したよ。

大好きだったバナナもチーズもあまり食べないなって思っていたけど、

あんな急に悪くなっているなんて、ごめんねちゃーちゃん。

あまり血管が出ないから、血液検査も最低限にしていたんだよね。

そう言えば、階段を登れないはずなのに、2階まで上がってきた

事があったよね。

夜中に布団が重くなったと思ったらちゃーちゃんだったよ。

心配なんで、居間にふとんを敷いて一緒に寝ることにした。

次の定期受診を3日後に予定していたある日、急に歩き方がおかしく

なって、よたよたし始め呼吸も早くなった。

それでも、気づくとよたよたと階段の下まで行ってたよね。

一段目に顎を乗せて、そこで力が尽きたようにしていた。

途中で戻るように言っても、危なっかしい足取りで階段まで

行ったよね。

ちゃーちゃん、ばんちゃんはここにいるよって言っても

白内障もあったから、見えなくなっていたのかな。

そんな状態なのにトイレに行こうとしていたよね。

受診を早めて病院に行くと、酷い貧血になっているって知らされた。

心電図、血液検査、おなかのCTを撮ったら、内臓が腫瘍だらけで

どこが原発か分からない状態になっていた。

身体全体の機能が不全、DICを起こしていて、どこかで出血しているでしょう。

もう、化学療法も出来ないとの宣告。

Drもひと月前に診ていたから驚いていた。

「よく今まで頑張ったね」って。

本当に、何も変わりはなかったんだよ。

ちゃーちゃんは、点滴をしてもらいICUの中ですやすやと眠っていた。

入院をお願いしたけれど、「今日明日が峠です」「家で見てあげた方が

良いと思います」「目を覚ました時に知らない所だと可哀そう」

とのことで、家に連れ帰った。

痛がった時の内服薬と、呼吸が苦しそうになった時の座薬を貰った。

座薬は、麻薬に近いもので、使うと呼吸を抑制するかも知れない薬と

わたしは知っていた。

けど、苦しい事と痛い事を除くことを1番に考えた。

帰ってから、内服薬を飲んでもらったら眠り始めた。

夜中近くに呼吸が早く苦しそうになったので座薬を使った。

目を覚ましていたので、ペットの水分補給用水を飲ませた。

少しずつだけど、何とか飲んでくれた。

隣に寝て、ずっと背中やおなかをさすっていた。

呼吸が落ち着いたようん思えた時、前足を揃えて私の顔を覗き込んで

いるちゃーちゃんと目が合った。

あ~少し楽になったのかなと安心した私は、さすりながらウトウトした。

何となく違う気配がして、見るとちゃーちゃんは静かになっていた。

6月22日午前3時だった。

しばらく見ていたけれど、ただ眠っているだけのように見える。

きっと私を驚かそうと思っているに違いないなんて思って。

けど、ちゃーちゃんが動く事はなかった。

朝になってから、病院に連絡したが後はボーっとしていた。

翌日もボーっとしていた。

娘たちにはいつ知らせたらいいだろうか。

翌日の夜になってから、ようやく短いラインを送った。

「ちゃーちゃんが亡くなった、明日がお葬式」と。

仲良しだった孫は、ずっと泣いていたそうだ。

亡くなったちゃーちゃんを見るのが辛いから行かない。

けど、もう会えないんだ、来るか来ないかと迷った末に、

来てくれることになった。

「ちゃーちゃん、寝ているだけなのに。」

「ちゃーちゃん冷たくなっている」

「なんで…」

と、孫はずっと泣いていた。

車の中でずっと抱っこしてくれて、帰りもお骨を抱いて家に帰ってきた。

それからしばらくは、泣いていたようだ。

下の孫も泣いていたそうだ。

ちゃーちゃんの子供の時に会いたかった。

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