母を仕事に連れて行く

何となく寂しくて、何となく不安になったんだろうね。

一人で家にいるのが嫌だって言うから、仕方なく仕事

に連れて行った。

仕事だからかまってあげられないよ。

日勤して、そのまま夜勤に入る日の朝、連れて行った。

家に居る時と変わらず、ただ、読書をしているだけ

なんだけどね。

当直室でずっと読書をしていたよ。

お昼は近所から店屋物をとって、あとは、お茶さえ

あればいい人だから。

夕方になって、日勤業務が終わる頃、看護助手さんが

母を温泉に連れて行ってくれると言う。

近所に日帰り温泉があって、そこに連れて行ってくれる

と言う。

帰りはタクシーで帰るように言ったが、帰りも送って

来てくれた。

大満足で帰ってきた母。

また、店屋物をとって食べさせて、私は夜勤業務へ。

そこの病院は、見えるはずのない物や、聞こえるはずの

ない音が聞こえるところだった。

かなり心配だったが、何もなく夜が明けて仕事も終了、

二人で帰宅した。

看護助手さんには感謝だ。

時々、すごく寂しがることがあって、私の留守中は

私の家で、猫と過ごしていたこともある。

猫は、ぴったりと母についていてくれて安心出来たそうだ。

別の職場でも、仕事に連れて行ったことがある。

寂しいとか、不安とかって言う時に一人で留守番を

させるのは可哀そう。

けれど、何にも増して、ばあさんを職場に連れて行く事

を許可してくれた職場や同僚には、いくら感謝の言葉を

言っても足りないと思う。

ちなみに、職場には孫も連れて行ったことがある。

大きな運動場があるところだったので、好きにしていた

ようだ。

運動場の壁に、50程の工作の鯉のぼりを展示していた時、

孫が気に入ったひとつを教えてくれた。

なんと、私が作ったものだった。

家族同伴での仕事へは賛否両論があると思うけれど、

家族を大切に思う心を大切にしてくれる職場は、

病院としても、施設としても、安心できる場所だと

思う。

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