深夜の徘徊

深夜の徘徊に行かれなくなってしまった

夏の夜も良いけど一番は冬の夜

声を出したら割れそうに空気が凍っている

ブーツの底はキュッキュッって音を立てる

こんな冬の夜は徘徊日和

友人に言ったら「厄介な」と一言だけの返答

夜中に徘徊する老人は厄介だと言う訳だ

その時間のお散歩が好きなんだから良いじゃないか

その徘徊に行かれなくなってしまった

私の夜中の徘徊には目的がある

コンビニに行く事だ

そのコンビニが閉店していたのがショック

その店がなくなったら夜中のお散歩に行く理由が

なくなる

少しの間…そう3日間ばかり頭を抱えていた

コンビニがなければどこに行ったら良いんだ

月に2回くらいのものだけど

突発的に行きたくなる

そう思っていたら『リニューアルオープン』の

チラシが入った

良かった

目的がなく歩き回ることを徘徊というけれど

初めにあった目的の場所を忘れてしまって

困り切って歩き回っているのかもしれない

それなら胸の中は焦燥感でいっぱいだろう

ある老人施設で

家に帰りたい家に帰ると言い始めたら

どういっても聞かない利用者さんがいた

そこで施設の前にバス停を作ったそうだ

バス停の前にベンチを置いて

そこで職員とふたりで座ってお話していたら

そのうちにバスを待つ時間が短くなったそうだ

ある先生が言った

徘徊する人は目的がなく歩き回っているのではなく

当初あった目的の場所を忘れて歩いているって

それだもの

歩き回っている人はたいてい息を切らして

目を見開いて止まることなく歩き回っている

もうついて歩くのがたいへんなくらいの早足

落ち着いてくれる『魔法の言葉』があると良いな

ひとつ言っておきたい

私の夜中の散歩は目的があるし

その目的の場所を忘れていないから徘徊じゃないよ

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