ラーメン屋さんごめんなさい

どんぶりを回収に来たラーメン屋さんの

不機嫌な顔が忘れられない

18時から翌日9時までの救急外来にいた時のこと

なんだかラーメンが食べたいね

なんて話をしていて近所の店にラーメンを注文した

注文してから

「今日は暇そうだから食べられるよね」

あ~禁句が出てしまった

この言葉は夜勤での『呪いの言葉』

これを言ってしまうと超絶忙しくなる

座る間どころかお水を飲む余裕もなくなる

これ大げさじゃない

ドキドキしながら待っていたラーメン

待っていたラーメンを目の前に置いたところで

救急車の♪ピーポーピーポー♪って言う

かなり間の抜けた音が聞こえた

サイレンまで行かなくても

もっと緊急って音はないんだろうか

それよりもラーメンだ

あの音が聞こえたら正面玄関に車が停まるまでに

ひと口でも食べたい

あらま~今日の救急車は早く着いたみたい

割りばしを割るどころかドンブリの蓋を取る前に

到着~!

こんな状態の時に運ばれた方には気の毒だけど

せっかくのラーメンを食べられない自分たちも気の毒

あれよあれよと言う間にかなりの時間が経って

ラーメン屋のおじちゃんがどんぶりの回収に来た

時間を見るとこの回収で店じまいのようだ

「…すみません食べてないです…」

その時のオジサンの顔と言ったら

嘘だろう?に本当か?に調理人としての誇りを傷つけられた

そして怒り…

ホントすごく怒っていた

(もう配達してくれないだろうな)

けどおじさん安心して

伸びきった麺と蓋が密着して

開けるのに手間取ったけど美味しくいただきました

何なら噛まなくても良かったのが

空腹Maxの胃にそれは優しく収まったラーメンだった

この後は伸びないものを注文したかって?

いやなんどかチャレンジして『鍋焼きうどん』に変更した

夜勤の時は余るほどの夜食を持って行く

ないと思うとなおさら食べたくなるからだ

満腹になると眠くなるとは世間一般の常識

ところがこれを超えると眠気は起きなくなる

これは自分の中の常識

それを知ってか管理団体からは数皿のオードブルが届いたり

お月見となるとお饅頭が何十個も届く

全部がおなかに収まった

今は伸びたラーメンを食べなくてもいい生活

けど時々思い出すあの時のラーメンの味

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