吹雪の峠越え

吹雪の峠越え、冬であれば当たり前の事。

同僚の結婚式で函館に行った時に、酷い吹雪にあってしまった。

友人夫婦と私と娘の4人で、弟から車を借りて行ったんだ。

ゴールデンウィークの最中だったけど、天気は良く雪もすっかりと

融けて何も心配のない旅行のはずだった、はずだった…。

私の運転技術って言えば、家と職場の往復が多くて褒められたもの

ではなかったよ。

友人は、切迫性流産で入院していた後で、その時は落ち着いていた。

友人の夫は車の免許なし。

必然的に運転は友人とわたしだけ。

結婚式も無事に済んでの帰り道の事。

後志の稲穂峠にかかろうと言う時に、雪がちらついて吹雪に

なってしまった。

ドライブインに一時避難して宿泊施設を探したが、中は人でいっぱい。

ケータイも普及していない時だったんで、公衆電話の前も混雑していた。

友人をドライブインの中で夜明かしさせるわけにはいかないという

思いで、空いた電話を探しては次々に旅館に聞いてみた。

どこもかしこも満室。

友人にもしもの事があったらどうしよう。

何件か電話して、気づいた事があった。

この雪だもの、ひょっとしたらキャンセルがあるかも知れないって。

最後の所で、まだ一組が到着していないって聞いた。

また電話するので、キャンセルになったら泊めてもらう事にした。

うまい具合にキャンセルなんて出るだろうか。

先方からの連絡を受ける手段がないので、何度か電話した。

22時に近くなって一組がまだ着いていないと聞いた。

公衆電話しかない時代なので、予約の方も連絡の手段がないのだろう。

旅館では、来るなら宿泊は出来るとの事で、一安心。

行ってみてびっくり、そこは道路から少し下りになって旅館の入り口。

あとで思い出したが、多分「富士屋旅館」とかっていう所で、家族で

毎年お正月を過ごしていた場所だった。

滑らないように、ブレーキを踏まないように、ゆっくりとゆっくりと

車をすすませた。

旅館の中に案内された時には心底ほっとしたよ。

案内してくれた仲居さんは、頭にカーラーをつけていたから、もう休んで

居たのだろうが、嫌な顔一つしないで部屋に通してくれた。

お部屋は広くて、一部が180度みえるような次の間みたいになっていた。

晩御飯はないから、お菓子でも食べて寝ようね、って言ったところで

ノックの音。

仲居さんが食事を持ってきてくれた。

大人用2人と子供用1人分ですけど…って。

有難くいただきました。

翌日には雪もあがり、道路も乾いていたから難なく峠越えして帰宅。

それからは、ゴールデンウィークに遠出する時は、必ず冬用のタイヤに

替えて出かけている。

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