うっかりと安請け合いして、仔猫を引き受けた。
友人の家に生まれた仔猫を預かった。
男の子1匹と女の子2匹。
引き取り先なんかすぐに見つかると思った。
職場では猫と暮らしている人や猫好きが多かったからだ。
予想に反して男の子だけ引き取り先が見つからなかった。
いや、引き取りたいと言われてお試しに連れて行って
くれるけど2件から出戻り。
鳴き声は上げないけどかなり気が強かったようで
先住猫が萎縮してしまったのがその理由。
後日談になるけど、銀四郎と名付けたその仔がいる間
我が家に入れたのは両親と娘一家だけとなった。
多分家の警備をしているつもりだったんだろう。
窓に人の気配がするだけでもひどく怒って唸っていた。
そして銀四郎に噛まれるのはわたしだけ。
噛むと体を回転させるものだから痛いのなんのって。
そこでまだ学生だった娘に預ける事になった。
汽車で通学していた娘はキャリーに乗せて学校に行った。
あっという間に大きくなった銀四郎は重かっただろう。
合宿にも銀四郎を同伴した。
合宿所には他にも猫がいたようで、部屋割には
初めから猫たちの部屋があったそうだ。
«家から荷物が届いたからウキウキして開いたら
全部が銀の物だった≫
なんて娘に言われた。
銀が寒くないようにフリースとか、大量の猫缶とかだ。
この猫部屋から集団脱走した事があったそうだ。
合宿所の近くには原生林が広がっていて、総出で探したそうだ。
なんと、全員がボス猫について遊んでいたらい。
みんな一緒にいたそうで全員を無事に保護。
仔猫から成猫になっても気が強いのは同じだったけど
我が家の先住犬も仲良く暮らし始めた。
銀四郎の爪と牙にかかったのはわたしだけ、悲しい。
私としては猫を抱いて散歩するって言う夢があったのに
とうとう叶わなかった。
何と言ってもすくすく成長した銀が重たかったから。
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