ほとけの耳

ほとけの耳、銀杏そうの

ほとけの耳、銀杏そうのことなんだけどこの味噌汁が

わたしは大好き

母からは

「おしゃかさんの耳たぶみたいだからほとけの耳なんだよ」

銀杏そうって他では言うけどって聞いた

おしゃか様の耳たぶはぷっくりとしているから

なんだってさ

ちょっとぷっくりしていて熱が加えられるとトロッと

してくるけど、その前に食べると他の海草と同じ食感だ

私は味噌汁の出来上がり直前に入れて食べるのが好きだ

この海草は北海道の道北から日本海に沿って採れるらしい

雪融けになると竹籠を持って父が家の近くの海岸で採って来た

まだ寒いし海水も冷たいのにどうやって採ったんだろう

そんな事も知らずにただ『食べる人』だったわたし

父は秋になると山へ行っては落葉キノコを採って来た

このキノコも開き切っていないのが好きで

採って来たものからそんなものをより分けて届けてくれた

北海道では落葉松(カラマツ)のそばで採れるキノコを

落葉キノコって呼んでいるけど«ハナイグチ≫とも呼ぶんだって

味噌汁に入れても茹でて大根おろしと食べても美味しい

お盆過ぎに雨が降ると

昨日雨降ったから落葉採りに行くって言葉が聞かれた

「山芋があったけど、来年くらいにちょうどだ」

山周りから帰って父が言っていた

わたしが好きな山菜のひとつでクレソンもたくさん

採ってきてくれた

どこにあるのか教えて欲しいって聞いたら

ちゃんと採って来る、水辺で危ないからと言って

笑って教えてくれなかった

舞茸採りの名人が家族のだれにも場所を教えずに

今わに際に息子が枕元で場所を聞いたって話も

冗談か本当か分からないけどある

せめてクレソンと山芋の場所を教えてくれてから

旅立っても良かったんじゃ~なんて思うのは

親不幸だろうか

いやいや、美味しく食べたんだから

これも親孝行だって思って欲しいな

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