夜と雪そして方向音痴

ひどい方向音痴のわたし

大雪の夜に出かけて遭難しかけた

母がいた頃に近所のコンビニへ行くと言って

完全武装で雪の中を出かけようとした

こんな日に出かけたら遭難するから

テントと寝袋を持って行ったらなんて

冗談を言ったものだ

母はまっすぐ行って帰って来るだけだもの

って言って

買い物を済ませて難なく帰って来たものだ

行った先はバス停二つ分だから

大した時間はかからなかった

そうやって母にかけた言葉が

そのまま自分にブーメランになって

返って来るなんてその時は思わなかった

冬に娘の家に行った時のこと

熱を出した孫にゼリーを買いに行った

大きめの雪がポタポタとひっきりなしに

落ちてきていたそんな夜

雪が降る夜って本当に静か

静けさの音なんてものもあるけど

その時ばかりは本当になんの音もしない

さほど気温が低くないものだから

雪を踏むキュッキュッって音もしない

行先はゆっくり歩いて10分かかるかどうか

買い物も済んで急いで帰ろうと思った

急いでってのが間違いの元だった

それに気づいたけど後の祭り

近道なんて考えて歩いていたら

街路灯だけが光る人気のない道路に出てしまった

雪が降っているせいか

自分がいる場所が分からなくなってしまった

もっとも単に雪のせいだけじゃないけど

ケータイも持たずに出かけたから連絡も出来ない

連絡できたとしても『ここどこ?』状態

一時間あまりさ迷い

半ば泣きたくなって

頭からコートまで真っ白になってようやく

娘の家にたどり着いた

知った道路でも夜の雪道は侮れない

そう心に刻んだ夜だった

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