おひとり様って言葉だけを聞くと
お雛様とか十五夜さんみたいにかわいらしく感じる
ずっと以前に年上の同僚が
興奮気味に「わたし今日凄いことしちゃった!」
そう言いながら夜間専門病院に出勤してきた
そこは自分たちの勤め先で
途中で
一人で喫茶店に入ってコーヒーを飲んできたと
それは嬉しそうに話してくれた
ただ
ドキドキしながら覚悟を決めて入った店で
椅子に掛けて「コーヒーをホットで」って
少し気取り気味に言ったところ
「ここ美容室です」と言われ顔に血が上ったそうだ
次は間違えずに喫茶店に入って
無事にコーヒーを飲んだそうだ
それは今から50年ほど前の出来事だ
専門の仕事を持っている女性を『職業婦人』と呼んでいた頃
そんな女性も一人で喫茶店は入りずらかったので
一般女性は一人で店舗に入る事は難しかっただろう
そんな時代を経て今では一人で食事をする女性が増えた
おひとり様で暮らす私は仕事帰りに食事をしてくることがあった
コーヒーショップだけじゃなくて回転ずしも居酒屋も串揚げやさんも一人
誰かと行く楽しく会話しながらの食事はそれはそれで良いけど
一人も又良いもんだ
おひとりさまが嫌いな人に言わせると
寂しいだろうとか友達がいないみたいとか言われるけど
言わせてもらうと全くそんな事はない
1人だと全部を自分で決めないとならない
入って出るまでの時間約30分だ
そうやって時々一人で入ると
わたし以外にもおひとりさまがいる事に気づく
以前は「おひとりさまですか?」
そう聞かれたけど
今は自分から「一人です」と伝えている
だいたいがカウンターに通してくれる
おひとり様をあまり意識しないで済むようになったのは
あの2020年のパンデミックからのように思える
その頃は外食自体が少なかったけど
過ぎてからもあまりたくさんでは出かける事はなくなった
かえって一人が心地よく思うようになったし
おひとりさまでもあまり奇異には思われなくなった
今では
一人しゃぶしゃぶとか一人焼肉なんかがあるそうだ
聞いた時はぜひ行ってみたいと思ったけど
いまだにその機会には恵まれていない
それでもおひとりさまが特別じゃなくなったのは
おひとり様万歳のわたしはそのまま字のごとく万歳!
私のちょっと贅沢なおひとり様ディナーの話し
講演会で出張に行った時
そんな遠くじゃなかったし何なら通勤範囲の場所
方向音痴のわたしにと事務がホテルをとってくれた
前日からの前乗り状態
娘の職場近くだったので夕食に誘ったけど
面倒くさいのひとこと
外は土砂降りの雨だもの仕方ない
ホテル一階にあったレストランで食べる事にした
せっかくだからとコース料理とワインのハーフ瓶
全面ガラスにカーテンみたいにぶつかる雨と
私以外に誰も客がいなかったレストラン
座っていたのが私じゃなければ
まるで外国映画のいちシーン
意識せずにおひとり様を満喫していた
おひとりさまは良いもんだ
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