いるんだけど見えない猫

いるんだけど見えない猫…オカルトではないよ。

男の子の猫が2匹いた時に、預かった女の子。

名前は「ひかる」というキジトラ。

手術の後、傷口がなかなか閉じなくて、弟が毎日

消毒していたけど、引きこもり気味になってしまった。

そんな訳で、我が家で一時あずかることになった。

少し環境を変えたらいいかなと思ったのと、うちは

とっても静かだからどうかなって思って。

先住猫には、くれぐれもって言い聞かせた。

なにせ、銀四郎って狂暴な猫がいたから。

「ひかるは女の子だから、優しくしてね」

「ひかるのご飯は絶対に食べちゃダメだからね」

「うなったりしないでね」

引きこもったように、ご飯も食べないし、水も飲まないから

2階に、ひかる専用の猫砂とご飯やお水を用意した。

それでも、テーブルの下から出てこないので、

全部をテーブルの下に置いたよ。

先住猫2匹が、テーブルの下を覗き込んでいたから、

「見ていたら食べられないから、見ないの」

ちゃんと聞いてくれたようで、意地悪もしなかった。

けど、ひかるは2階から降りてこない。

夜、何か気配がして振り向くと、ひかるがいる。

見つかったと思うと、その場でピタッと固まってしまう。

もちろん目は合わせない。

だから声もかけられない。

気づかなかったふりをすると、動き出す。

その動きなんだけど、壁にピタッと身体をくっつけて、

ほかの猫よりも、気配を消して動く。

走る事なんか絶対にしない。

ご飯も水も減っていくし、トイレも使っているようだから

一安心した。

そんな訳で、家にいるけどめったに姿を現さない

という猫になった。

娘も友人も、「ひかる、いるはずなのに出てこないね」

と、心配していた。

本当に、夜になると静かに2階から降りてくるだけで、

先住猫たちとは間を開けていた。

娘には少し慣れたようだったけど。

多分、すごい人見知りだけだっただけかも知れない。

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