保護犬ちゃーとの出会い①

従兄弟からの電話

「ねえ、犬いらない?吠えないし、散歩もいらないから年寄りでも大丈夫」

その時は猫が2匹いるので無理と断った。

これが、多分ちゃーが1歳くらいの時の話と思う。

その後に従兄弟の家に寄る機会があった。

「あ~また、床にしたんだ、大体外すんだよね」と、床におしっこを

したと言いながら、モップで掃除をしていた。

その時は、ちゃーの顔は見ていなかった。

それから1年くらい過ぎた頃に、また電話があった。

「うち、犬いるから面倒みられない、引き取ってくれない?

引き取ってくれないなら保健所に連れて行くしかないわ<

保健所なんてそんな事、引き受けるも断るも言いかねていた時に

>じゃぁ、少しで良いから見てくれないか、お試しで1週間位で良い<

渋々ながら承知したところ、翌日の早朝6時くらいに連れてきた。

ちゃーがあと少しで3歳になるくらいの頃と思う。

わたしが花に水やりをしている所で、

>あ~いいところで良かったね、ちゃーちゃん<と言いながら、ケージや

大袋のペットフード(何でも食べるからと)クッションなど、次々に

車から降ろして、従兄弟は帰って行った。

その時も、1週間くらいで良いからって言いながら。

その割には荷物は大量。

それから全く音信はなく、私の家にいることになったちゃー。

2人目が、1人目の飼い主の所に遊びに行った時に、糞尿にまみれて

いたちゃーを見つけて、可哀そうと連れ帰った。

2人目の飼い主はすぐに面倒を見られなくなって、3人目である従兄弟が

引き取ったが、病院に連れて行くのが大変と、私に預けにきたのだった。

引き取ってくれないなら保健所に連れて行くなんて、脅しでしかないよね。

こうして、私は4人目の飼い主になった。

猫2匹との相性が分からないので、家の中にケージを組み立てて中に入って

もらったが、もちろん2匹の猫は興味深々。

唸ったりしない事は褒めてやりたいが、ケージの柵越しにちゃーのお尻を

押している。

そのたびに、ちゃーは体の向きを代えていたが、しばらくするとまた押す。

何日かして、猫たちの興味が薄れた頃に、ケージの扉を開いたが、ちゃーは

ケージから出てくる様子はなかった。

鳴きもせず、じっとケージの中で過ごしていた期間はどれくらいあったか。

かなりの長い期間、そうして過ごしていたように思う。

ご飯をあげても、お水をあげてもすぐには飲まず、こっちの顔を窺うように

してから食べたり飲んだりしていた。

わたしのそばにも近づいてくる事はなかった。

少しの物音にも、ビクっと身体が動かす。

本当に慣れてくれるのかと心配になった。

ケージの外でも、忘れた頃に猫に押されることがあり、ツイっと前によろめい

ていたが、後ろを振り返るだけでさほど気にした様子もなかったのが救い。

少しづつ少しづつながらも、近づいてくるようにはなったけど、抱っこしよ

うとするとスルっと逃げて行く事が続いた。

この頃には、猫たちと仲良くとは行かないが、一緒に暮らす事に慣れた。

猫たちは、ちゃーのフードに興味を持っていたようだったが、横取りする

ようなことはなかった。

猫たちの手前、ちゃーだけを構う訳にもいかずに、猫2匹と私とちゃーの

暮らしは続いた。

猫たちも、寝るときは私のふとんに入るが、後は我関せづと言う性格だった

のが幸いしたのだと思う。

我が家での、ちゃーの初めてのお盆、娘一家が来た。

上の孫に頭をなでてもらうと、その場で短いしっぽを振っていた。

下の孫は、顔を見るなり「顔が怖い!」と2度と近くで見ることは

なかった。

どこが怖いと思ったのかは分からないが、フレブルの絵や写真を見ただけで

怖がっていた。

けど、何年かしてからは、居間と廊下を隔てた柵越しに、絵本を読んで

やったり、「クーイズ、クイズ」何を言われているのか分からない

チャーにクイズを出しては「ブー、不正解です」

それでも、構ってもらうのが嬉しいようだった。。

猫たちが半年の間をおいて亡くなった後は、わたしとちゃーとの暮らし。

この頃には近くに来て眠るようになった。

吠えることがなかったので、かかりつけの獣医さんに、声帯の手術でも

されたのではと相談したが、そういう事はないと思うから様子見てと。

その後に、娘一家が来た時、ちゃーが急に吠え始めた。

上の孫が近くに行くとおとなしくなるが、いなくなるとまた吠える。

娘夫婦になでて貰って、嬉しそうにしていたのもこの頃。

この頃からは、孫が来た時はずっと一緒にいた。

ソファの上で、ちゃーを枕にして寝ていたり、おなかに足をつけたり。

「ちゃーのおなか、あったかくて気持ちいい~」といつも一緒だった。

なにせ、孫が近くにいると静かに顔を寄せているが、見えなくなると

吠え始めるものだから、2階で食べていたご飯もそこそこに

1階にいるちゃーのそばに降りてくる。

来るのが遅いと、床におしっこやう〇ちをしてしまう。

それも、きちんと?絨毯の上にしていた。

従兄弟の家にいた時の事を思い出すと、トイレトレーニング自体が

出来ていなかったようだ。

そんな訳で、ラグやクッションはいくつも捨てる羽目になった。

少し寒いと、身体が焦げるのではと思うほどストーブの近くに行き、

暑くなると、呼吸が早くなるものだから、夏のエアコンは欠かせない。

「あ~ちゃーちゃん、焦げる焦げる!」って言っても聞こえないふり。

都合の悪い事は聞こえないふりをしてスルーする。

主な暖房がペチカだったので、あったかい壁の所にふとんを敷いて

そこをちゃーの定位置にした。

聞こえないふりと言ったが、本当にふりだったのは間違いない。

台所で、チーズの包装紙を破くと、顔だけ覗かせて見ていたり、何かの袋

を切ると、すぐに来ていたから。

私が飲んでいた漢方薬の封を切ってもそばに来る。

後になって思うのは、辛い環境で気持ちが萎縮してびくびくしていただけ

だと思う。

一人目の所では、飼育放棄の他に叩かれていたという事だ。

う〇ちやおしっこをしてしまっても、知らん顔。

掃除をしている私を覗き込んでは「どうしたの?」って顔をしていたり、

寝ていて、目だけを開いて聞こえないふりで、耳もぴくとも動かさない。

『おやつ』って言葉には反応していた。

いつの間にか、大好きなチーズが冷蔵庫から出てくる事を覚えて

冷蔵庫の前で座っている事も多くなった。

「ちゃーちゃん、冷蔵庫は勝手には開かないんだよ」

ちゃーがいなくなってからも、何かを食べようとするとつい後ろを見て

しまう。

ちゃーがいなくなってからも、枕のスペースを半分開けている。

ちゃーがいなくなってからも、文字にする事が出来なかった。

今ようやく、こうして思い出を綴る事が出来た。

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