恥ずかしかった

「フルーツきん〇ま!」

こう言ってしまった、それも大きい声で。

オーストラリアからの帰り、予定では東京に一泊する

そんなつもりだったけど早く家に帰りたかった。

なんだかんだ言っても我が家が恋しかったのかな。

当日の航空便に空きがあったんで

飛びついて新千歳空港まで来た。

従兄弟が迎えに来てくれることになった。

車に乗って国道5号線にあるファミレスに入ったときのこと。

夏のオーストラリアから来た私たちは半袖の服装。

ちょっと周りの視線が気になったけど。

身体ってすぐに寒いとは感じないのかなって自分でも不思議。

いつもは好まない小豆が食べたくて選んだのが

『フルーツ金時白玉』

こんな長い名前を言えるかなって心の中で

繰り返していたのにやってしまった

「フルーツきん〇ま」それも大きい声で。

やってしまった言ってしまった。

ここでうろたえたら女が廃る。

もう一度当たり前のような口調で

「フルーツ金時白玉」って言えたよ。

笑いもしない店員さんの顔が恥ずかしさを一層させたよ。

そういう時は笑って欲しかったな。

私は強度の方向音痴

それに加えて勘違いも多い。

方向音痴で言えば、歩いてせいぜい10分の所を

雪まみれになって一時間さ迷っていた事がある。

娘の家から近所のスーパーまでの帰り道だったから

あまりなじみのない道だったと言えば言い訳になるかな。

仕事に行く朝、何年も車で走った道なのに

まるきり反対方向に10キロ以上いってから気づいた

そんな事もある。

方向音痴は自覚していたので、徒歩の時はもちろん

車の時でもすごく時間には余裕を持っているので

事なきを得た。

函館からの帰り道、海岸沿いを車で走っていて

気がついたら『椴法華』という所に着いた事がある。

同乗の母は懐かしいって喜んでいたけど。

映画の前売り券を持って違う映画館に行き

「ここでは使えませんよ」って言われて焦った事もある。

父を喜ばせた勘違いがひとつ。

仕事で市場の間を通って通っていた時のこと。

食べ物屋さん、卵やさん、それに混じって花屋さんがあった。

店の前に大きく『どじょう』と書いたのぼりが翻っていた。

どれだけ良い土壌なんだろう、母が喜ぶだろう。

気になっていたけど大きな袋を持って歩くのはしんどいだろうな~って

いつも横目で見ていた。

ある時思い切って店に入った。

「どじょう、あるんですか?」

お店の人がニコニコとして指さしてくれた先にあったのは

木の桶に入ったどじょう。

あ~又勘違いをしてしまった。

そこでちょい出てきたのが好奇心の虫。

どうやって食べるんですかと聞いてみた。

店で作ってくれてかば焼きにもできるという。

今さら勘違いと言うのも恥ずかしいので

かば焼きにして貰った。

家に持って帰ったら父が喜んで言った。

珍しい物だ、ずっと前に食べたっきりだ、栄養があるんだ

あまり味は覚えていないけど

喜んでくれた父の笑顔は覚えている。

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