大型犬と3匹の仔猫①

我が家には、大型犬のセントバーナードがいた。

大型犬は優しくて甘えん坊。

娘が小学校低学年の時、我が家にセントバーナードがやってきた。

埼玉県のブリーダーさんから譲っていただいた。

大型犬とあって、ブリーダーさんからは、家族構成や家の状況、

主に犬の事を見る人、また、近所の散歩する場所など聞かれた。

そうして、ようやく迎えることが出来た。

弟と一緒に札幌の丘珠空港まで迎えに行き、我が家の愛犬となった。

名前は「ビル・オブ・ビッグレオ」Lサイズと言う訳ではないが、

呼び名は「エル」とした。

実は、亡くなった先住犬の名前で、この後も

我が家の犬はエルと呼ばれるようになる。

コロコロとしてぬいぐるみのような仔犬は、大げさに言えば

2頭身と思えるような体形で、走ると頭から前に転がって行った。

夜になると母の布団の足側から潜りこんで寝ていた。

1歳を過ぎた頃に、父が庭に大きな犬舎を建てた。

広さは3畳弱で、前方に長くひさしを付けた、小屋と言うよりは

離れの趣のある家で、真ん中で区切り敷き藁を敷き詰めた。

が、寂しいのか泣いてばかり居たため、父は犬舎に電気を引き

椅子を持ち込んで、そこで新聞を読みコーヒーを飲んでいた。

朝に夕に散歩に連れて行き、帰るとブラッシングをしていた。

父の可愛がりようは、ハーネスを馬具屋さんに特注するほど。

何重にも重ねた皮で、外側を皮でくるんだもので、

角がないので皮膚には良いとの事だった。

もちろん娘はじめ他の家族も可愛がり甘やかした。

寝ているところを見ると、頭にスズメが停まっており、

残ったご飯をスズメがついばんでいたりした。

ある日の事、犬舎の奥から微かにミャーミャーと声がする。

エルはと言えば、寝たまま頭だけをのそりと持ち上げ、

「あかんべー」をしたみたいな目で、面倒そうに私を見る。

恐る恐る犬舎を覗いたら、敷き藁の真ん中に動くものがある。

仔猫だった。

なにせ大きい犬だから…間違いでも起こして、どこかに

血の跡でも…と、犬舎の中に入った。

生まれて間がないような仔猫が3匹。

犬舎の中で出産した様子はなかった

よそから運んできたのだろうが、母猫の姿はなかった。

この日から、エルの子育てが始まった。

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