我が家には黒猫に見えるトラ猫がいた
黒猫に縞があると分かったのは
キャンプ場のゴミ捨て場から誘拐してきてから
何年も経ってからのことだ
そう気づいてからもよーく目を凝らしてみて
はじめて縞があるってわかるくらいで
ふだんはただの黒猫だった
その仔とあと一方が茶色に縞の猫で
首からお腹にかけての毛は真っ白だった
茶色の方が先に我が家に来ていたので
黒い方はいつも茶の真似をして後ろをついて歩いてた
両方ともあまり鳴き声はあげなかったかったけど
茶の方はたまに唸るくらいでほとんど鳴かなかった
娘が片道2時間余りかけて学校に通っていた時の付き添い猫
暑い夏も凍れる冬も
猛吹雪の中も娘と一緒に電車に乗って学校に行っていた
全然鳴かないとはいえ10キロほどもあるデカ猫を
よくぞ毎日連れて行ったものだと感心する
そんな2猫は一人暮らしとなった私のところに
一緒にいてくれたし
自分が夜勤で留守の時に強い風が吹くと
それを怖がる母にピッタリとついていてくれた
猫は長く生きると尾が2つに分かれて猫又という妖怪になる
そうした言い伝えがある
娘と話したものだ
家に帰ったら銀(茶色の方)が米を研いでいたりしたら
びっくりするよね
うーん少しは驚くけど
そうしてくれたらそれはそれで嬉しいよ
そう答えた
不思議とその光景がしっくりときたものだから
自分ではそっちに驚いた
テレビのない我が家は夜になるとシーンとしていた
私も2ニャンたちもダラけて過ごしていたから静か
そんな時に聞こえてきたのがシャカシャカシャカっていう音
もしやって思って玄関に行く途中の風除室を見たら黒と茶色のお尻
重いガラスの引き戸が少しだけ開いていた
こっちからは2にゃんのお尻で見えないけど
奴らの前にあるのはおそらく猫砂の袋
静かに声をかけると
何かようですか
とでも言いたそうに2ニャンが振り向いた
ニャンたちの間にはこんもりとした山の猫砂
猫砂の袋に手を入れて砂を掻き出していた
見つかっても逃げるでもなし
さぞかし楽しかっただろう
この他にもカラカラカラっていう音がした時は
トイレットペーパーをホルダーから引っ張り出していた音
その時は静かに声をかける余裕はない
行くとトイレの中いっぱいにペーパーが広がっているから
そんな姿を目の当たりにしていたから
米を研ぐ猫
これがしっくりと来ていた
猫は色々なところを開けるみたい
ジャンプできるせいもあるだろう
人間もそれぞれの個性で出来ることや出来ないことがある
動物もその仔によって出来ること出来ないことがある
何にせよ他を見て同じことが出来ないと羨むことはない
それぞれのできることを見つけるだけ
コメント