蘭越町にあった温泉宿
今は閉館して再開の予定がなくなった温泉宿
秘湯と言っても良いほどの山奥にあった
実際に営業していた時は
日本三大秘湯に数えられていた
冬になると宿の人は4WDの大型車で
駅まで送迎していると言っていた
私も軽だけど四輪駆動で
積雪にハンドルをとられそうになりながら行った
この宿には私の好きな露天風呂はなかった
父が先に訪れていた宿で
私と母と娘が迎えを兼ねて一泊の予定で行った
部屋は縦長の12畳以上あるような部屋
冬だったのでそこに二つのストーブが置いてあって
部屋の中は暑い位
父にお風呂はどこって聞いたら
部屋の隅にあるドアを示し「あそこだ」と
そこから廊下に出ていくのかな寒いし面倒だな
なんて思ってドアを開けたら
なんと
そこには四角い浴槽がドンとあった
濁り湯で
入ると湯舟の底からポコンポコンと湯が湧き出していた
それもそのはずで
源泉は湯舟の中にあるのだ
その時は濁り湯だったけど
透明になる事もあり『七変化の湯』と呼ばれていた
ぬるめのお湯で上がると寒くなるような気がした
けど
ぬるいのに身体の芯まで温まるようで
後の話しだけど
いつまでも身体はポカポカしていた
娘と二人で貸し切り状態で入っていた所に
人が入って来た
若い男性
「こんにちわ!」と爽やかな挨拶
「この温泉に来たかったから
スキーで山越えしてきたんです」
山越えでも何でもいい
なぜにしら~っとした感じで話しているのだろうか
娘も私もお湯から上がるに上がれず
濁り湯を良いことにお湯をかき混ぜたりして
場を持たせていた
幾らおばさんとは言えいきなり混浴はね~
そういきなりの混浴は困る
けど
わかって入るのと知らなかったのではまるきり違う
何か話しかけてくれたけど何を答えたのか
まるきり覚えていない
人は生きていると色々なアクシデントに遭うけど
これは三大秘湯ならぬ私の三大アクシデントになるだろう
もっとも残りの二つのアクシデントは思いつかない
それくらいの衝撃だ
また行きたいと思っても
大雪で建物が崩壊して温泉は閉館した
いかにも湯治場だったという風情で
見かけも内装?もかなりのおんぼろ(失礼)
廊下には学校で見かけるような長い洗面所があった
他に台所らしきものあってまさに湯治場
再開してくれたら行きたい宿の一つだけど
今のところそんな情報はない
ちなみに食事はほぼ山菜(これは良かった)
ただ吹雪が続いていたせいで
毎日の食事が日を追うごとにダウンしていったらしい
父が言うには
朝は前日の残り物
お昼は食パン一枚と牛乳
夕食も似たようなもので
食事に関してはうるさくない父も
とうとう音をあげて迎えSOSを出したという訳
あ~あ心から再開を願う宿だ
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